動脈硬化について
動脈硬化は老化とともに基本的に誰にでもおこる現象です。動脈硬化がおきた血管は、壁が固くなり、内腔は沈着した粥腫(コレステロールや脂肪などと、血中にあるマクロファージと言われる物質が沈着したもの)で狭くなっていきます。この粥腫はプラークと呼ばれ、中が液状や柔らかい物質であると破れて中身が血管の中に流出し塞栓症をおこします。心臓なら狭心症、脳なら脳梗塞の原因になることもあります。
また、長期間に渡る動脈硬化では石灰化という現象もくわわり、しなやかさは全く失われてしまいます。血管の壁ももろくなって解離や破裂をきたし、脳内出血や大動脈解離、大動脈破裂などの原因となります。
動脈硬化は生活習慣病と密接な関係にあり、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙歴、肥満などの5大危険因子(リスクファクター)があると加速的に進行します。近年生活の欧米化により 比較的若いうちから動脈硬化の進行が見られるようになってきました。一度進行した動脈硬化を元通りの状態に戻すことはできませんが、現状より悪くしないことが病気の発症予防につながります。
当院では頸動脈エコーや四肢脈波などを使って血管年齢や動脈硬化の状態を把握し、リスクファクターを良い状態にコントロールしながら未然に病気を予防することを目標とします。
頸動脈狭窄症
頸動脈は脳や顔面など頭部に血流を送る非常に重要な血管です。頸動脈の動脈硬化は脳梗塞や心筋梗塞との関連性があるといわれていますので、動脈硬化の目やすとしてもよく使われます。超音波検査で血管の壁が厚くなっていないか、プラークという塊が血管の壁についていないか、詰まっていないかなどを調べます。もしプラークがあるようなら生活習慣病全般の管理での改善効果も期待できるという報告もあります 。万が一、つまりかかっている場合は手術が必要になることもあります。また心臓疾患や他の末梢動脈疾患がないか調べる必要があります。