失神・低血圧・自律神経障害について
血の気の引く感じ、目の前が真っ暗になる、立ちくらみ、ふわっとすることがある、朝が弱い、立っていたら倒れた、血圧が低い(80-90台)、だるい等
心臓は24時間絶え間なく血液を臓器に送り出していますが、脳は特にごく短い時間でも虚血(血液の欠乏)に耐えられません。したがって、不整脈、狭心症や心筋梗塞、大動脈弁狭窄症、肺動脈血栓症、閉塞性肥大型心筋症などの心疾患があると失神の原因となります。これらを除外するためには心臓エコーや24時間心電図(ホルター心電図)などをする必要があります。
また心臓循環器系統は自律神経の影響を非常に受けやすく、痛みやストレス、排泄、咳、嚥下など日常でよくある動作のなかで迷走神経反射という自律神経の反応が過剰におこると急に血圧が下がったり脈が遅くなったりして、脳に送られる血流が不十分になり、失神や立ちくらみの原因となります。失神の原因としては最も頻度が高く、特に高齢者は脱水や降圧剤への過剰反応があるとさらに起こりやすいので注意が必要です。
起立性低血圧は文字どおり、立ち上がった時に血圧が下がるものですが、循環している血液量が減っていれば当然脳への血流も途絶えやすく、急に立つと重力にしたがって血液が降りたままになるので脳貧血のような状態になりやすくなります。元の血液量が出血などで減っていると症状が出やすいため、まずは採血で貧血がないかを確認する必要があります。
自律神経異常を直接確認する標準的な検査法はいまだなく、症状のエピソードや、原因となる異常が心臓や脳にないことが決め手となるケースが多いですが、簡単なテストで同様の症状が出るか試すこともあります。
中でも神経調節性失神はまだ原因も画期的な治療法も明らかでなく繰り返し起こることがあるので、学生時代の朝礼や電車やエレベーター待ちなど立ちっぱなしの最中に気を失ったことのある方は要注意です。対処法としては、症状が出そうになったらすぐ横になること、外出先などですぐ臥位になれない場合はせめてすわるなど、知っていれば対処できることもあります。
心臓、自律神経の異常が原因ではない場合はてんかんや一過性脳虚血発作なども念頭に、脳のMRIや脳波などの検査が必要になります。